東京で原付・スクーターに乗る:車線・駐車・ルール完全ガイド

2026年6月4日 · Roel van Roozendaal

東京の街なかでスクーターに乗るライダー。混み合う車道と二輪車の通行が描かれている。

東京は、原付やスクーターで走るには世界でも有数の街です。鉄道網は世界一かもしれませんが、駅から少し外れた用事、雨の日の買い物、配達や営業の細かな移動になると、すり抜けの利く二輪のほうが圧倒的に速いことがあります。一方で、東京の道は二輪のルールが細かく、しかも2025年4月に原付の定義そのものが大きく変わりました。この記事では、東京で原付やスクーターに乗る人が実際に知っておくべきことを、車線・駐車・盗難対策・ナビの順に、具体的にまとめます。

先にひとつ正直に書いておきます。私はベルリンで二輪に乗りながらUrban Riderというナビアプリを作っている本人で、この記事の最後でそのアプリも紹介します。つまり書き手は中立ではありません。それでも事実は事実として、東京のルールはできる限り一次情報に当たって確認しました。

2025年4月、原付の定義が変わった

まず最大の変化から。2025年4月1日に改正道路交通法施行規則が施行され、原付一種に「総排気量125cc以下かつ最高出力4.0kW以下」という区分が新たに加わりました。出力を電子制御で4.0kW (約5.4馬力) 以下に抑えた125ccの「新基準原付」が、従来の50cc原付とまったく同じ白ナンバーで扱われます。背景には、2025年11月施行のいわゆるユーロ5相当の排出ガス規制への対応が小さなエンジンでは採算的に難しく、新車の50cc生産が2025年10月までに終了したことがあります。

ライダーにとって大事なのは次の点です。

「50ccか125ccか」で迷っている人は、車格や維持費、二段階右折の要否まで含めて50ccと125ccの比較記事も参考にしてください。

どこを走れて、どこを走れないか

東京の車線ルールは、ナンバーの色 (排気量区分) で扱いが変わるのが厄介なところです。整理します。

首都高・自動車専用道路は不可

原付一種も原付二種も、高速道路と自動車専用道路は走行できません。首都高はもちろん、青い標識の自動車専用道路 (たとえば一部のバイパスや高架道路) も対象です。125cc以下では入れない、と覚えてください。126cc以上の自動二輪なら高速も走れますが、本記事の主役である原付・小型スクーターには関係しません。

バス専用レーン:原付一種だけが優遇される

ここが東京で意外と効いてくるポイントです。

なお、バス専用レーンの二輪の扱いは都道府県や路線で例外が生じることもあるため、現地の標識を必ず確認してください。

自転車専用レーンは走れない

車道左端の青い普通自転車専用通行帯は、原付も自動二輪も走行禁止です。走ると通行区分違反になります。混雑時に空いて見えても、ここはワープゾーンではありません。原付・スクーターは一般の車道を、左に寄って走行します。

二段階右折を忘れない

原付一種特有のルールが二段階右折です。片側3車線以上の交差点を右折するとき、または青い二段階右折指定の標識がある交差点では、いったん交差点の向こう側の左端まで直進し、向きを変えて青信号を待ってから直進する形で右折します。新宿や渋谷、靖国通りや明治通りのような幹線の大きな交差点では、これが必要になる場面が多いはずです。

違反は交差点右左折方法違反として反則金3,000円・違反点数1点ですが、小回りで曲がった先で赤信号に引っかかると信号無視も重なり、結果的に重いほう (反則金6,000円・違反点数2点) が適用されることがあります。なお原付二種・自動二輪には二段階右折の義務はなく、普通に小回りで右折します。区分によってルールが正反対になるので、自分の車両がどちらかを常に意識してください。

東京には二輪向けの「低排出ゾーン」はない

ロンドンのULEZ、パリのZFEとCrit'Air、ベルリンのウムウェルトゾーン、バルセロナのZBEのように、欧州の大都市には古い車両に課金したり締め出したりする低排出ゾーンがあります。東京で同じものを探すライダーもいますが、結論から言うと、東京に二輪車を対象とする低排出ゾーンや走行課金はありません

東京都にはディーゼル車規制 (条例) がありますが、これは検査証の燃料が「軽油」のディーゼル車が対象で、二輪車と乗用車は規制の対象外です。ガソリンの原付・スクーターはもちろん、電動スクーターも、年式を理由に都心への乗り入れを制限されることはありません。古いVespaに乗っていても、欧州のように街の中心で課金される心配は不要です。

その意味で、東京は二輪にとってむしろ素直な街です。電動と原付内燃機関のどちらを選ぶかは、環境ゾーン規制ではなく、航続距離や充電環境、維持費といった現実的な条件で決めて構いません。判断材料は電動とガソリンのスクーター比較にまとめています。

駐車:東京で一番悩ましい問題

東京で二輪に乗る人の最大の頭痛は、走ることより停めることです。鉄道優先で都市が設計されてきたぶん、二輪の駐車場は慢性的に足りません。まずルールを正確に押さえましょう。

区分で扱いが分かれる

路上の二輪車用パーキング

東京都内には、警視庁が管理する二輪車用のパーキング・チケット枠があります。料金はおおむね60分100円で、四輪用より割安です。利用券は黄緑色のパーキング・チケットで、たとえば東京メトロ表参道駅付近には二輪専用枠が34台分設置されています。2006年の道交法改正で路上の駐車スペースが二輪に開放された流れで整備されてきたものです。

停めてはいけない場所と罰則

当然ですが、「駐車禁止」「駐停車禁止」の標識がある場所には、原付でも停められません。歩道への駐車は、明示の禁止標識がなくても道路交通法違反です。違反した場合の目安は次のとおりです。

明るい材料もあります。警察庁は地域の実情に応じて二輪車の駐車環境を改善する通達を出しており (直近では2022年)、二輪車の車体が四輪より小さいことを踏まえて、駐車需要が高い割に駐車場が足りない区間で二輪車を駐車規制から外す方向での見直しを各地に促しています。都心の駐車事情は、ゆっくりとですが改善に向かっています。

盗難:停めたあとが本番

停める場所を見つけたら、次は守ることです。日本の二輪盗難は近年また増加に転じています。2024年の全国の二輪盗難は1万件台に達し、1日あたり約31台が盗まれている計算です。都道府県別では、東京都は1,278件で全国2位 (1位は大阪府の1,352件、3位は神奈川県の1,124件) でした。さらに深刻なのは検挙率で、二輪盗難の検挙率は過去7年ほど20%未満で横ばいです。四輪の50%前後に比べて大幅に低く、盗まれた5台のうち戻るのは1台未満という水準です。

東京の盗難場所の内訳を見ると、4階建て以上のマンション (27.1%)、その他住宅 (21.1%)、道路上 (16.7%) の順で、住宅敷地内が約6割を占めます。「自宅だから安全」という思い込みが、いちばん危ないということです。対策は次のとおりです。

東京を賢く走る:ナビの選び方

ここまで読めばわかるとおり、東京の二輪ルールは「車線ごと」「区分ごと」に細かく分かれています。問題は、ほとんどのナビアプリがこれを理解していないことです。クルマ向けに作られたナビは、原付では入れない首都高や自動車専用道路へ平気で案内します。日本の一部地域ではGoogleマップに二輪モードがありますが、これはバイクの速度に最適化するもので、原付一種が法的に走れる道だけを厳密に通すわけではありません。スマホをハンドルに着けて走る前提の話は二輪でのスマホナビの使い方でも掘り下げています。

ここで、私が作っているUrban Riderの話をします。バイアスがあることは承知のうえで、正直に説明します。Urban Riderは二輪を出発点に設計したナビで、スクーター・原付プロファイルを選ぶと、首都高や自動車専用道路といった原付が走れない道をデフォルトで除外し、車両が走るべき一般道へ案内します。到着時刻も、クルマの平均速度ではなく二輪の実速度をもとに計算します。走行中はミニマルモードが画面を「次の曲がり角・距離・速度」だけに絞り、ハンドルマウントでもひと目で読めます。次の曲がり角はApple Watchにも出るので、スマホはマウントに、視線は道路に残せます。アカウントは不要で、ルート履歴は端末内に保存されます。

正直な注意点も書いておきます。Urban Riderは大手のアプリより新しく、規模も小さいアプリです。現在はiOSで無料、Androidはオープンベータの段階です。他のナビとの違いをもっと比較したい人は、スクーター向けナビアプリの比較を読んでから決めてください。

区分別のルールまとめ

項目 原付一種 (白ナンバー) 原付二種 (ピンクナンバー)
法定速度 (一般道) 30 km/h 60 km/h (標識に従う)
二段階右折 3車線以上などで義務 不要 (小回り)
バス専用レーン (規制時間帯) 走行可 走行不可
二人乗り 不可 可 (免許取得1年以上など条件あり)
高速・自動車専用道路 不可 不可
駐車の扱い おおむね自転車と同じ (駐輪場) 駐車場法 (二輪車用スペース)

同じ「原付」でも、白とピンクで走り方も停め方も変わります。自分の一台がどちらなのかを起点に、ルールを組み立ててください。週末に渋滞を避けて気持ちよく走りたいなら、高速を使わない景色のいいルートの作り方も役に立つはずです。

よくある質問

東京で原付はバス専用レーンを走れますか?

原付一種 (白ナンバー) は、規制時間帯であってもバス専用レーンを走行できます。原付一種は軽車両などと同じく路線バス等の専用通行帯を通行できる車両に含まれており、路面の「バス専用」表示の時間指定の対象外だからです。一方、原付二種 (ピンクナンバー) と126cc以上のバイクは、道路交通法上「自動車 (二輪)」に分類されるため、指定された時間帯のバス専用レーン走行は禁止で、違反すると反則金6,000円と違反点数1点が科されます。

原付は東京の自転車レーンを走ってもいいですか?

走れません。道路の左端にある青い「普通自転車専用通行帯」は、その名のとおり自転車専用です。原付や自動二輪が走行すると通行区分違反となり、取り締まりの対象になります。混雑時に空いているように見えても、原付やスクーターはここに入ってはいけません。一般の車道の左寄りを走行してください。

2025年4月の原付の新基準で何が変わりましたか?

2025年4月1日施行の改正で、原付一種に「総排気量125cc以下かつ最高出力4.0kW以下」という区分が新たに加わりました。出力を電子制御で4.0kW以下に抑えた125ccの「新基準原付」が、従来の50cc原付と同じ白ナンバーで扱われます。運転には従来どおり原付免許 (または普通免許に付帯する原付資格) で乗れます。出力を抑えていない通常の125ccに乗るには、引き続き小型限定普通二輪免許以上が必要です。すでに所有している50cc車はこれまでどおり乗り続けられます。

東京で原付やスクーターを駐車するにはどこに停めればいいですか?

原付一種 (白ナンバー) は、自治体の条例上おおむね自転車と同じ扱いで、自転車等駐車場 (駐輪場) に停めるのが基本です。51cc以上の自動二輪は駐車場法が適用され、自動車と同じく二輪車用の駐車スペースを使います。路上の二輪車用パーキング・チケット枠は、東京都内ではおおむね60分100円で、表参道駅周辺などに専用枠があります。「駐車禁止」「駐停車禁止」の標識がある場所や歩道には停められません。

Urban Rider はクルマ用ナビと何が違うのですか?

Urban Rider はスクーター・原付・バイク専用に作られたナビです。スクーター・原付プロファイルでは、首都高や自動車専用道路といった原付が走れない道をデフォルトで除外し、車両が走るべき一般道へ案内します。到着時刻はクルマの平均速度ではなく二輪の実速度をもとに計算します。ハンドルマウントでひと目で読めるミニマルモードや、次の曲がり角を表示する Apple Watch 連携も備えます。現在は iOS で無料、Android はオープンベータ中で、大手アプリよりは小さく新しいアプリです。

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