高速道路を避ける絶景ツーリングルートの作り方

2026年6月4日 · Roel van Roozendaal

原付に取り付けたスマートフォンのナビで、海沿いの下道ルートを確認するライダー。

ツーリングの楽しさは、目的地に着くことではなく、その途中の道そのものにあります。海岸線をなぞるカーブ、川に沿った日陰の道、ひと気のない峠の頂上から見える景色。けれどクルマ向けに作られた多くのナビは、こうした道を「遠回り」として切り捨て、最短という名のもとに退屈で交通量の多い幹線へとあなたを送り出します。原付や小型バイクなら、その問題はさらに切実です。そもそも高速道路や自動車専用道路には乗れないからです。

私自身、ベルリンで二輪に乗りながら、サイトで紹介しているUrban Rider というナビアプリを作っています。ですから、この記事は身内びいきのある書き手によるものだと受け取ってください。そのうえで、原付や125ccといった日本の小型二輪で、高速道路と渋滞を避けながら気持ちのいい絶景ルートを組み立てる方法を、できるだけ具体的に整理します。

良い二輪ルートを決める要素

まず、何をもって「良いツーリングルート」とするのかを言葉にしておくと、計画がぐっと楽になります。私が道を選ぶときに見ているのは、おおむね次の点です。

原付と小型バイクの「走れる道」を正しく知る

絶景ルートを組む前に、日本の二輪のルールを押さえておきましょう。ここを間違えると、計画そのものが成り立ちません。

原付一種(従来の50ccおよび新基準原付)。 法定速度は時速30km、交通量の多い交差点では二段階右折が必要で、二人乗りはできません。なお、排出ガス規制の強化(2025年11月1日施行の第4次規制)を受け、従来の50ccは2025年10月末で生産が終了しました。これに先立ち2025年4月からは、最高出力4kW(5.4PS)以下に制御した125cc以下を原付免許で運転できる「新基準原付」が導入されています。区分は新しくなっても、時速30km制限や二段階右折といった原付一種のルールは引き継がれます。

原付二種(125cc)。 一般道の法定速度は時速60kmで、二人乗りもできます。ただし高速自動車国道と自動車専用道路は走れません。125cc以下は法律上「自動車」とは扱われないためで、入口には通行禁止の標識が設けられています。詳しくは原付の高速道路ルールを整理した記事と、原付免許の取り方をまとめた記事もあわせてご覧ください。どちらの車両が自分に合うか迷っているなら、50ccと125ccを比べた記事が参考になります。

ナビで高速道路を避ける設定

多くのクルマ向けナビには、ルート設定の中に「高速道路を使わない」「有料道路を避ける」という項目があります。下道ツーリングの第一歩は、これを必ずオンにすることです。ただし、これだけでは不十分な場合があります。無料の自動車専用バイパスは「有料道路」として除外されないことがあり、結果として原付では走れない道に案内されてしまうのです。

道路種別を細かく指定できるナビなら、さらに踏み込んで「自動車専用道路を除外する」設定を使います。ここがクルマ用と二輪用のナビの分かれ目です。スクーター向けナビアプリを比較した記事でも触れていますが、車両の区分を理解したうえで自動的に除外してくれるアプリは、まだ多くありません。スマホをナビとして安全に使う方法は、二輪でのスマホナビ活用の記事にまとめています。

下道、海沿い、川沿い、森の道を見つける

避ける設定を整えたら、次は「走りたい道」を能動的に探す番です。地図アプリの航空写真や地形表示を眺めると、絶景路の手がかりが見えてきます。

地図上では、太い黄色やオレンジの幹線を避け、細い白や灰色の道をたどると、自然と交通量の少ない裏道に行き当たります。気になる道を見つけたら、ストリートビューで路面と幅員を確認しておくと安心です。

渋滞を避けるための時間帯の選び方

同じルートでも、走る時間帯で印象は大きく変わります。渋滞を避ける基本は単純で、早めに出ることです。観光地や人気の峠は、午前の早い時間ならガラ空きでも、昼を過ぎると車列ができます。たとえば後述するしまなみ海道は、原付道だと尾道から今治まで片道でおよそ3時間かかるため、日帰りで往復するなら朝の早い時間に出発しておくと、観光客の増える昼前後を避けやすくなります。

平日に走れるなら、それが一番です。週末しか時間が取れない場合でも、午前中に主要区間を抜けてしまえば、観光客の到着や夕方の帰宅渋滞と時間をずらせます。原付一種は時速30km制限のぶん移動に時間がかかるので、余裕のあるスケジュールを組むことが、結果として渋滞回避にもつながります。

給油・充電と安全の準備

下道の絶景路は、幹線沿いほどスタンドやコンビニが多くありません。出発前に、ルート上のどこで給油や休憩ができるかをざっと確認しておきましょう。電動スクーターなら、なおさら充電計画が重要です。航続距離の考え方は電動スクーターの航続と充電の記事に、ガソリンとの違いは電動とガソリンを比べた記事にまとめています。

安全面では、山間部や海沿いは天候が変わりやすいことを忘れずに。レインウェアと、こまめな休憩を前提にした計画が安心につながります。原付一種では二段階右折と左側通行を守り、原付二種でも自動車専用区間に迷い込まないよう、分岐の標識に注意してください。都市部での安全のコツは街乗りの安全ヒントの記事にも書いています。

日本で走れる絶景ルートの例

原付や125ccでも下道だけで楽しめる、具体的なルートをいくつか挙げます。

1. しまなみ海道(広島・愛媛)

本州と四国を結ぶ連絡橋のうち、125cc以下でも渡れる唯一のルートです。各橋には原付道が併設され、瀬戸内海の島々を橋でつないでいきます。橋の通行料金は合計でおよそ500円(現金のみ)で、原付道の最高速度は時速30kmが基本です。尾道側は新尾道大橋に原付道がないため、尾道渡船で向島へ渡るのが定番。青い海と巨大な吊り橋が交互に現れる、二輪ならではの絶景区間です。

2. 西伊豆スカイラインとマーガレットライン(静岡)

伊豆半島は人気のツーリング地ですが、注意が必要です。伊豆スカイラインは自動車専用道路のため、125cc以下は走れません。一方、戸田峠から土肥峠へと稜線を走る西伊豆スカイライン(約10.8km、2004年から無料)は自動車専用ではなく、125cc以下でも通行できます。海岸沿いの国道136号、通称マーガレットラインと組み合わせれば、稜線の眺望と西伊豆の海岸線を一度に楽しむ下道ルートになります。

3. 日本海オロロンライン(北海道)

小樽から稚内方面へ、日本海の海岸沿いを南北に走る約320kmの道の総称です。信号が少なく、まっすぐ伸びる海岸線と夕焼けで知られています。距離が長いので原付一種では数日に分ける計画が現実的ですが、原付二種なら一般道で時速60kmまで出せるぶん、ゆとりを持って走れます。

Urban Rider で下道ルートを組み立てる

ここからは私の作っているアプリの話なので、その前提で読んでください。Urban Rider は、こうした「高速道路を避ける下道ツーリング」を出発点から想定して作られています。

スクーターや原付のプロファイルを選ぶと、高速道路や主要な自動車専用道路をデフォルトで除外します。クルマ向けナビのように毎回「高速を使わない」を手動でオンにする必要はありません。バイクのプロファイルなら高速道路を許可することもでき、どこまでを許すかは設定で細かく調整できます。到着時刻も、クルマの平均速度ではなく二輪の実際の速度をもとに計算するため、原付の時速30kmでも現実的な見積もりが出ます。走行中はミニマルモードで次の曲がり角だけを大きく表示し、視線を道に残せます。

正直にお伝えすると、Urban Rider は現在iOS版が公開中で、Android版はオープンベータの段階です。ベルリンの一人のライダーが作っている小規模なアプリで、知名度の点では大手にかないません。それでも、二輪のために最初から設計されている点は、下道の絶景ルートを組むときにはっきり違いとして表れます。東京での実際の走り方は東京でスクーターに乗る記事でも紹介しています。

よくある質問

原付や125ccは高速道路を走れますか?

走れません。高速自動車国道と自動車専用道路は、総排気量125cc以下の原付一種・原付二種(新基準原付を含む)が通行できません。これは法律で定められたルールで、入口には通行を禁止する道路標識が設置されています。そのため、これらの車両でツーリングを計画するときは、最初から下道(一般道)だけで目的地まで行けるルートを組む必要があります。

ナビで高速道路を避けるにはどう設定すればよいですか?

クルマ向けのナビでは、ルート設定で「高速道路を使わない」「有料道路を避ける」を手動でオンにします。ただし、その設定でも自動車専用の無料バイパスなどに案内されることがあります。Urban Rider はスクーター・原付プロファイルで高速道路や主要な自動車専用道路をデフォルトで除外するため、毎回設定をやり直す必要がありません。

原付二種でも走れる海沿いの絶景ルートはありますか?

代表的なのが、本州四国連絡橋のうち125cc以下でも渡れる唯一のルートであるしまなみ海道です。橋には原付道が併設され、橋の通行料金は合計でおよそ500円です(現金のみ、最高速度30km/h)。ほかにも、北海道の日本海オロロンライン(小樽から稚内方面へ続く海岸沿いの道)や、伊豆半島西岸の国道136号沿いなど、下道だけで走れる海沿いの絶景ルートがあります。

渋滞を避けて走るには、いつ出発するのが良いですか?

観光地や峠道では、早朝に出発するのが最も確実です。たとえばしまなみ海道は原付道だと尾道から今治まで片道でおよそ3時間かかるため、日帰りで往復するなら朝の早い時間に動き出すのがおすすめです。平日や、週末でも午前中の早い時間帯を選ぶと、観光客の車列や帰りの渋滞に巻き込まれにくくなります。

Urban Rider は日本でも使えますか?

はい。Urban Rider は世界中の地図に対応しており、日本でも利用できます。iOS版はApp Storeから無料でダウンロードでき、Android版は現在オープンベータです。ベルリンの一人のライダーが作っている小規模なアプリで、Googleマップなど大手より知名度はありませんが、二輪専用に設計されている点が特徴です。

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